2005/03/01(火)
今日は代車で借りたALTOで移動。
現代の軽四というのは実に乗りやすい。
コミューターとしては最高だ。
スクーター気分で使えて、取り回しも楽で、燃費もいい。
下手な電気自動車よりずっと自然に優しい。
ちなみに電気自動車ってのは、目の前で排気ガスを出さないからクリーンなように思われているが、実は意外に燃費が悪く、かなり自然に厳しい。
目の前で排ガスを出していなくても、電気を作ってる火力発電所では原油や石炭をガンガン燃やして、ガンガン炭酸ガスを出している。
そうやって作った電気を、電気自動車がどの程度使っているのかが、電気自動車の燃費だ。
広報では、熱効率は必ずモーターの熱効率とか、発電所のガスタービンの熱効率が単体でのみ語られていて、実に効率が良いとか言われているが、総合に関しては一切発表されていない。
(火力発電所のガスタービンの熱効率による損失)
(発電機の発電時の熱効率による損失)
(高圧電線での送電時の損失)
(変電所での変電時の損失)
(低圧電線での送電時の損失)
(電柱のトランスでの損失)
(家庭のコンセントまでの損失)
(電気自動車のバッテリー充電時の損失)
(走行中のバッテリー放電時の損失)
(制御回路での損失)
(モーターの熱効率による損失)
全部入れないと、ちゃんと計算した事にならない。
ここまで計算して初めて、どれだけの燃料でどれだけ走れるかが計算できるようになる。
回生ブレーキなんてののはその先の話だ。
それだってかなり損失の大きい(発電)(充電)のサイクルを通る。
本当は原油を運ぶタンカーの燃費まで入れないといけないが、家庭用の電気やガソリン車の燃料運ぶのにも使うから割愛したとしても、全部を計算するとかなり熱効率は悪くエネルギーの損失は大きい事になる。
これに加えてかなり重いバッテリーを積んでいる。
バッテリーは、エネルギー/重量比も非常に悪く、これが更に燃費を悪くしている。
バッテリーはガソリンと違って、タンクが減っても軽くならないのも無駄を助長していて、実効ではかなり燃費を悪くしている。
火力発電所だけならまだしも、日本では原子力発電も併用されているので、電気自動車というのは燃料にプルトニウムも使っている。
〈バックトゥ・ザ・フューチャー〉のデロリアンと同じだ。
もちろん、放射性廃棄物の理想的な処理方法は、まだ見つかっていない。
水力発電も使われているが、水力発電はダムが有機体積物をせき止めるため、下流でのプランクトンの繁殖を妨げ、光合成の酸素生産量を下げる。
大気中の二酸化炭素は地上の植物だけでなく、水中の植物によっても光合成で酸素になる。
炭酸ガスの多くは雨に溶けて、川や海に流れ込むのだ。
しかし水に含まれる有機物が減れば、植物性プランクトンは繁殖できない。
それを餌にしている動物性プランクトンも繁殖できないし、更にそれを餌にしている河口付近の魚も減り、漁獲高も下がる。
漁師の間では、雨が降ると魚が美味くなるとか、豊漁になるとか言われている。
地上の有機堆積物が川に流れ込んで、プランクトンが繁殖し、魚が肥えるからだ。
上流にダムが出来ると、とたんに下流での漁獲高が下がる。
細かい砂が流れて来なくなるので、魚が卵を生む場所も減ってしまい、それも下流の魚が減る原因だそうだ。
何年にも渡って全国の海に潜ってきたサーファーの知り合いが言うには、上流にダムが出来ると数年後には海底が荒れて波が悪くなるんだそうで、その辺りに関しては敏感だ。
因果関係が直接的でないので、下流の漁業組合が上流のダム建設の反対は難しそうだ。
また、メーカーの話では電力問題だけではなく、電気自動車自体を生産するには工場の照明やエアコンに使う電気まで全部含めると、ガソリン車を作る時の倍の炭酸ガスを排出するらしい。
2トンの炭酸ガスって、ガソリン何リットル分だろう。
そんなこんなで、電気自動車ってのはかなり自然に厳しいらしい。
しかし、一般にはあまり知られていない。
電気自動車=クリーンというイメージが広まってしまっている。
電力不足の昨今、電気自動車なんかが普及したら、もっと発電所を作らなければいけなくなって、かなりやばい事になるだろう。
これならエネルギーを一端電気にして、送電して、充電して、放電して、それからモーターで走る電気自動車より、積んだガソリンで直接走ってる軽四輪自動車の方が、遙かに自然に優しい。
最新の低燃費車は、まるでカブのような低燃費だ。
しかしグリーン税制では、電気自動車も減税されるそうだ。
燃費基準を達成して排出ガスが少ない車でも毎日乗ってりゃ自然には厳しいし、逆にどんなに燃費が悪くても、たまにしかエンジン回さない車なら排ガスなんて微量だ。
排出ガスは燃料消費に比例するんだから、本当に自然の事を考えるのなら、車の税金で調整するより、ガソリンと電気に大きな税金をかけるのが一番効率がいい。
そうすればオイルショックの時のように、エネルギー消費の少ない車や電化製品がこぞって開発される。
それでも燃費の悪い車や電気を食う家電を使いたい人は、使った分だけの代価を税金で支払い、それが環境回復に役立てられれば何の問題もない。
紙だって、今は再生紙よりバージンパルプの方が安いんだから、リサイクルなんて端から成り立つわけがない。
バージンパルプに税金かけて再生紙の方が安くなれば、需要が増えるのでリサイクルが活性化し、古紙再生業界も潤うし、それによって再生紙の値段も下がる。
いったいペットボトルを原料に作ったネクタイが、年間に何本売れると言うのだ?
産業として成り立たないような善意に頼った政策が、物事を解決する程甘くはない。
資源に税金をかけるのは全うな方法に思うが、ガソリンや電気に関しては、今以上の税金をかけられると怒る国があるので実現は難しく、文句を言わない人から順に負担を押しつけられるのが世の常だ。
ちなみに文句を言うのは、産油国ではない。
日本に原油を売ってる国は、産油国ではないからだ。
かつてオイルショックの教訓で、日本が直接産油国から原油が買えるようにと活動していた田中角栄が、今思えばまるでミステリー小説のような策略で見事に失脚したのは興味深い。
その上更に、シーレーン防衛に日本の自衛隊を出せと言ってくるのは、かなり理不尽な要求だったりするわけである。
ちなみに、世界最大の二酸化炭素排出国でありながら、経済を理由に京都議定書からも抜けている国なので、ガソリンへの課税はまず不可能だろう。
日本にウランを売ってるのも同じ国なんで、電気自動車と一緒に原発も増えそうだ。
自動車というのは文化でもあると思う。
その国々の特色や思想が入っており、時代時代の技術が結集した文化遺産だと思う。
自動車を大事にする国では、恐ろしく古い車であっても、いまだに走行可能な環境が整っているそうだ。
フランスでさえ、手続きさえとれば行動範囲は限定されるもののメッサーシュミットだって走行可能だ。
日本では200ccしかなくても、2サイクルというだけで乗れなくなる。
世界中に残ってる2サイクル自動車が一斉に走ったところで排ガスなんて知れてるというのに。
日本は、自動車大国と言われながらも、かつての文化遺産と言える車が生きながらえるのは難しい。
むしろ、古い車は早く壊して、新しい車に買い換えてくれという姿勢である。
某メーカーは、ベンツの数分の一の価格でベンツと同じ乗り心地を提供していると言う。
ただし、その乗り心地を維持するためには、3年で買い換えてくれとも言う。
そのための低価格であり、その時々の最新技術が取り入れられているので、この方が良いと。
3年を超えた頃には乗り心地が悪化する設計になっているそうだ。
もちろん買い換えるには、2トンの炭酸ガス排出を含めて、大量の資源を消費する。
環境と経済と文化は、どうやったら両立できるかを考えるべきで、なにか一つだけに偏るべきではない。
しかし、利益に結びつく経済が一番声がデカイ。
対抗するには、環境と文化も、分かりやすい利益に結びつシステムを作るしか方法はない。
そうすれば文化や環境にも声のデカイ人が現れるだろう。
でもそれで産業を無視してしまっても良くはならない。
ガソリンは、元々は産業廃棄物で、エンジンがなかった時代は捨てていた物だ。
爆発力が強すぎて他の用途に使えないのだ。
自然と付きあいながら、産業と趣味や文化に上手に使えるシステムができて欲しいものだ。
文化遺産になるだろう5リッターV8や、人にも自然にも優しい軽四輪が、見えない所で大きな自然破壊を始めようとしてる電気自動車に殺されでもしたら、たまったものではない。
今日は〈プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング〉を観た。